【新しいな、と思えるフツウを創る】言葉で居場所をつくる

コピーライターは、商品や企業、そして事業の良い側面を探します。
探し過ぎではないか、というくらい探します。で、必ず見つけます。これまでもそうでしたし、これからもそうなのです。
誰かとの何気ない会話でも、ポジティブな方向性で会話を進めていきます。そういう習性なのです。
最近、「視点を変えてみる」という言葉が見受けられるようになりました。
この「視点を変える」にさらに「解釈も変えて伝えていく」となると、ぐっとコピーライターならではの領域に踏み込んできます。
それは、少子高齢化、人口減少など先行きが視界不良で、情報だけが大量に生成され、どんどん流れ込んできます。
まさに、企業も個人も漂流しそうな状況だと言えます。
だからこそ、言葉で居場所を見つける、創ることが非常に大切なことだと浮き彫りになってきています。
「視点と解釈を変えて、言葉で居場所を見つけて、伝えていく」という事です。

これまでの感覚で捉えていたものを、まず並べてみる

つまり「今の状態」を並べる、という事ですが、例えば我らが暮らしている「佐賀県」。
都会と比べて何もない。あるのは、田んぼ、ダイナミックさにやや欠ける自然、そしてこの季節ならではの蚊、と言った
感じでしょうか。
ここに「視点と解釈を変えて」という思考をやってみます。
県外の方はもちろんですが、県外での生活経験があるひとは頷いてもらえると思いますが、まず「米がうまい」、「酒がうまい」
「空が低い」、「地平線が見えてしまう」という都会には無い視点があります。
そしてこれを「頂きもの」という解釈をしてみる。
本質的には、正真正銘の田舎なのですが、それを都会にはない、特別な「頂きもの」と位置付けるのです。
「贈り物」や「ギフト」という表現ではなく、「頂きもの」という表現のほうがしっくりきそうです。
これを大自然からの贈り物、という表現だと一気に道の駅モードを想起してしまいますが、「頂きもの」はちょっと質が違う
ような印象を受けます。
上品で上質で、特別感が感じられます。
「贈り物」、「ギフト」というと何やら「商戦」という慌ただしさ、ギラギラした感じですが、「頂きもの」だと、人の心理の変遷が浮かび上がってきそうです。
しっとりとし、落ち着いた感じの女優さんが、商品を手に取って、こちらに「これ、頂きものですよ」とほほ笑んでくれている
ような感じさえしてしまいます。
その女優さんが手に取っている商品とは「何かカワイイ、佐賀県。」と書かれたボードがあるわけです。
佐賀県は実は、小さくて可愛かったのです。
阿蘇や桜島の豪快さはない自然だけど、すぐに行けるし、あちこち「ちょいと寄り道」的なお店や飲食店もある。
真っ直ぐな道や、田んぼの中の道は、小さなモヤモヤを解消してくれそう。なぜなら、看板もなければ、行き交う人もいない。
つまり、自分と向き合える真っ直ぐな道が佐賀にはたくさん在る。ひとが少ない事は商売上は大変なこともありますが、雑音があまりない。という事は「音の絶え間」が在るということです。
この「音の絶え間」の意味することは、結構深いものがありそうです。
また空の動向がよく分かるので、自然と上を向く回数が多い。東京で上を向く時は、迷子になったときくらいでしょうか。
いわゆる「おのぼりさん」状態ですね。
これらはすでに佐賀の暮らしに在るものばかりで、解釈をポジティブに変えて、「何かカワイイ、佐賀県。」という言葉で位置付ける、ということになります。
「カワイイ、佐賀県。」と言い切ってしまうと、自分に関係のない他人事に聴こえそうですが「何か、カワイイ」だと「何が可愛いの?」とか「ああ、そう言えばそうだね」と会話の流れの一部ような感じに思えます。「何か」の「答えを探してしまう」という設計の意図であり、表現として広告展開が期待できそうです。街中を走るバスや空港や駅などの県外の方が行き交う場所でこの言葉が視界に入ると、何より県民のこころに温かいものが芽生えそうな気がします。
行政の方、ご連絡お待ち申しております。

〇〇と思えることこそ、実は大切なこと

私には、83歳の父と80歳の高齢の母がいます。
二人とも、どう生きてきたか、とどう終わりを迎えるかを半分ずつ考えて毎日を暮らしています。
私の三流の手料理でも、美味しいと言って食べてくれたりします。
その時にわたしが言うのは「そんな特別な料理ではないよ。むしろ、美味しいと思える事こそが大切だよ」とまるで禅寺の修行僧のような返答をします。
これって実は、先ほどから話している「視点と解釈を変えて、言葉で居場所をつくる事」の先にある「期待する要素」のことなのです。
佐賀県で言うと、カワイイとあなたが思えることこそ大切なことなのです。
あなたがそう思える事こそが、この思考の目指すものなのです。
50代のオジサンには、「カワイイ」とか「すてき」という言葉を持ち合わせていませんが、「いい感じやね」はあります。
そして、「カワイイ」とか「すてきね」と言っている女子がいたら、嬉しく思ったりするのです。
価値あるコピーは、何かしらの期待をさせなければいけません。
そのために、頭がワニになるくらい考え続けます。

この考え方は、商品、温泉旅館、自治体の在り方、インフラに関わる企業のコピーを考えて到達致しました。
関係者の皆様、ご連絡お待ち申しております。