【意味のあるテーマを見つける】なぜ捨象が大切なのか

【インプットするなら捨象しないと】

前回のブログで、本質的なもの以外は捨て去るという意味の「捨象」の大切さを書きました。
要するに過剰な情報に飲み込まれない為にも、本質的なものを見失わずに、本当に必要なエッセンスだけを取り入れよう、ということです。
そうでもしないと、「あ!これいいかも」ばかりだと、インプットした在庫ばかりが増えて、元来た道が分からなくなります。
そして、新商品開発や新しい事業においても、アイデア合戦となり、徐々に冷静さを見失いかねません。
つまり、必要な情報をストックする為に、まずは「これ、要らんな」という決定ができるように、自分が考える本質的な事をしっかりと捉えて、いったん言語化します。
そして、できたらビジョンやステートメントとして、チームや関係者と共有しましょう。
とまあ、教科書的な文章を書きましたが、ここで数少ないであろう読んでいただいている方に質問します。
あなたが思う、あなたの事業や商品の本質的な事とはなんですか?
即答できますか?
捨象する際に、年末の大掃除ではありませんから、本質的な事まで捨ててはいけません。
本質的な事が視界良好でないと、捨てるのに時間ばかりがかかります。

【本質的な事を見出す】

ちなみに、私は、依頼されたコピーなりステートメントを考えるとき、まず「本質的な事は何か?」から考えます。
例えば、お土産としてのカステラを製造するクライアントから「島内さん、色々材料が値上げして、従来のお土産を作ってもほとんど利益がでないので、なんかアイデアない?」と非常にフワッとした依頼があったとします。
ここでアイデアない?という質問そのものを、まず疑います。
鵜呑みにはせず、「なして作るとですか?」と聞きます。間違っても「生クリーム増量💓にしては?」とか言いません。
「なんでって言われても、そういう設備とか仕入先とか、販売先とか、それが今のうちに在る経営資源だから、それ以外を最初からやる時間も余裕も金もないよ」と言われたとします。
ここポイントです。「今ある経営資源」。
よくセミナーや講演会でおなじみの「今の資源を有効活用してイノベーションを!」みたいなヤツですね。
この「今ある経営資源」とは何か?それはいったい何で、これからも何であり続けるのか?
それは誰に関係するのか?その関係性はどんなものか?
その誰とはいったいどんなひとか?その人には子供はいるのだろうか?
そして、そもそもそれらの経営資源を使って作ってきたものは何か?
それはこれからも必要か?必要の賞味期限はどれくらいありそうか?
競合のUSPはどんな感じか?
その作ってきた商品の「今現在の意味」と「ひょっとしたらまだ見えていないけど新しい意味」が見出せそうか?
などを寝てる時間以外の24時間考えます。別の作業をやっている時も、ずーっと頭の片隅に置いてます。
つまり、言い変えれば何か別の作業をやっていても、頭はほとんど本質について考えています。
余談ですが、この時からしばらく便秘になります。
そして、なんとなく光明が見えてきた感がする頃、呼吸が浅くなり、PCや机の前で、固まってます。

【新しい意味を見出すために】

固まり続けていった結果、そのカステラ製造の社長と以下の質問をしました。
材料の中の砂糖は何を使ってるのですか?そして、そのカステラはどこで販売してるのですか?
この質問の意味を開示します。
カステラとは、視座を高く考えると要するにお菓子。
どちらかと言えば高級な部類に入るお菓子。高級の反対の低級なお菓子はないのか?もしくは安いお菓子。
安くて誰もが知ってて、その概念はある程度定義されているような。
「駄菓子」があるじゃないか!とちょっと見つけた感がきたとします。
しかし、この「駄」という漢字はじつに嫌な漢字ですね。駄文などに使いますね。
これが、実はジャンプするきかっけなのですが、世間の持つ駄菓子のイメージにユニークさを取り入れた、新しい駄菓子の提案をしました。
しかも、もともと駄菓子とは、高級な白砂糖を使った上級菓子と区別するための呼称らしいので、当然使用する砂糖も、甘さは在るもののB級となります。
そこから、カステラではなく、その製造設備を活用した歯ごたえのある焼き菓子が試作品としてできあがりました。
ここまでくると、「駄菓子」の「駄」を工夫したネーミング開発。
そして、その売り場にはまだ見当たらない、新しい手土産として設置することとなりました。
当然、使用する砂糖も値段を落として仕入れることができる。
つまり店頭での販売価格は安いけど、利益はカステラよりも多い。
ギフトでもなく、お土産とも違う、手ぶらじゃ訪問しにくいし、ありきたりのお菓子もセンスを疑われるし・・。という購入者の心理面を汲んだ新しい手土産となりました。
意味のある、新しいフツウの手土産の誕生ですね。

これは、以前より提唱している「視点と解釈を変えて、言葉で居場所を見つけ、それを表現していく」という一連の行為なんですね。

【テーマを見つける、という鍛錬を怠らない】

例えば、わたしは佐賀の中小零細企業の新しい価値や意味を見出し、そしてクライアントと共に売り上げを作る為、というテーマがあります。
その為に必要な本を同時に4冊くらい読み進めます。本当はもっとあっちこっちの、都会やその周辺の田舎に行ってみたいのですが、時間も金もないので、後回しにしてます。
それでも本は読み進めます。わたしにとって仕入れです。インプット行為です。ですので、捨象します。記憶容量には限界がありますので、要らん物は飛ばしますし、スマホで流れてくる情報はチラ見して飛ばします。
それは、わたしにとってのテーマに寄与する情報になり得るかもしれない知識だけ在庫します。
さっきの駄菓子も実はそうです。なぜお菓子に「駄」をつけるのか?という疑問がラーメン屋で思いつき、ちょっと調べていたのをいつかつかえるかも、という在庫にしていました。
これは鍛錬であり修行です。
佐賀の中小零細企業の業績アップの為に、鍛錬をしています!