【お茶の企画・販促について】生活者との関係性の再構築を考える②

ウェルビーングという企画

嬉野ですから、お茶もですがそこはやっぱり温泉ですね。
ある老舗の大きな旅館さんでは、ウェルビーングの世界観を出されていました。
なるほど、これはこれで落ち着くし、日常とは切り離された癒しの空間、という感じでしょうか。
まあ、温泉旅館ですから、そりゃそうでしょう。
ものすごく、泊まりたくなるし、ここでしか体験できない・・・という特別感満載でした。

ただ、課題としてわたしが掲げたのは、市井の方が、今一度、買い物途中に視界に入った瞬間
「あら?これなんだろう?」とか
「おやおや?これってひょっとしてあれ?」とか
「は?ああ、お茶だったのね。でもなんでこんなんなってるん?」など、「足を止める」ために
どうすればよいのか?
それくらい「キャッチ性のある」販促とはどんな感じだろうか、という課題でした。

現状は、価格ありき

本来の味には遠いけど、それと引き換えに、簡易さ手軽さがあり、ついでに価格も手軽な感じ。
これはこれの用途があるので、それとは違う、もっとあの味を体験してもらうために、茶葉を買ってもらう為に、そして朝食に煎れたてのお茶が出てくるようにするには・・・。

主で買い物をする母親の目に止まるような、キャッチ性とは・・。

いやいや、困った時の英語表記は・・。
説明も意図もはっきりしないし、ただただファッション的に良さげなだけで、伝える事を放棄しているようで
これは良くない。
しかも画像はお茶でもない。

だんだん煮詰まってくるのですが、そもそもお茶とはいったいなんだろうか?
いつから飲むようになったのだろうか?
裏千家とか表千家とか茶道と何か違うのか?
そう言えば、秀吉に切腹を命じられた利休は、なんであんな小さい部屋を作ったのか?
だいたい、茶室をわざわざ作る人など、文化人でない限りいないし、知らないし、必要とも思わないし。

それでも、美味しいのは間違いないし・・・。
でも、街中のお茶屋さんやモールのテナントのお茶屋さんをちょいと見ても、相変わらずの感じしかしないし。
どうしたものか。
で、こういう時の脱出方法は、私の場合、視座を高く持ってきます。
つまり、今回はお茶ですが、つまり「和の食文化のひとつ」なわけです。
調べます。この分野は時間がかかるだろうけど、調べます。

和とはなんぞや

この本は、以前「果たしてカステラは和菓子なのか、洋菓子なのか」の疑問を解くために紆余曲折し見つけた本でした。
いろいろ書かれています。
羊羹の「羊」の意味。
なぜ、あの甘いようかんの漢字に羊なのか、の理由。
そして、和とは間の文化であること。
これまで、和についての本は、谷崎潤一郎の陰翳礼賛くらいしか読んでいなかったので、大変勉強になりました。
倭人から和人へ、という歴史の流れに沿って、小さいアメリカ人になっていく現代人の抑制になるかと思われました。
そして、この本の、和の建築あたりで、いわゆる能の空間や茶室あたりが出てきます。
いわゆる「草庵」「利休」です。

そしてついに、茶と茶室をどまんかに据えた、ある建築家の本にたどり着きます。

利休の極小空間の意味

ここの確信部分は、ネタバレになるので記しませんが、さわりだけ書きます。
あの安土桃山時代。
信長と秀吉に茶頭として使えた利休が目指したものは、反転だったという事。
信長は安土城、秀吉は聚楽第。
建築的に和洋蘭入り乱れ、絢爛豪華な信長、秀吉からの反転としてのぱっと見、貧相な小屋のような
極小空間の茶室づくり。

と、ここまで読み、重要事項を書いていてふと思うのが、小さい子供がいる母親に、ドストレートに「利休がね~」とか「茶室の入り口って躙り口(にじりぐち)って言ってね~」などを表現しても、ポッカーンとなるだけです。
マニアすぎるのですね。
確かに知識は、センスと表現の血となり肉となり、いずれ表現するときの引き出し、知識の在庫にはなります。
でも、単なる物知りにしかなりません。
あくまで、アイキャッチ性を設計しなくてはならないのですから。

諦めずに、母親を頭の片隅に置きながら、読み進めます。

婆娑羅大名(ばさらだいみょう)と闘茶(とうちゃ)

南北朝時代に室町幕府の弱体化に付けこみ、京の都に乱入した有力武士集団。
派手であり、乱暴者であるのに、文化、教養があるという、なんともある意味魅力的な
欲望集団がいました。
彼らが、お茶を飲み、産地を当てある闘茶という賭博ゲームを盛んにやっていたのです。

ゲーム。
派手ないでたちの武士。
そして、飲み比べ。

このあたりで、どうやら、数種類のお茶の飲み比べセットの企画ができそうです。
しかも、子供が(この場合特に男の子かな)好きそうなキャラ像です。
史実もちょっと入れた感じで、手に取った母親にちょっとしたウンチクを知らしめることで
「贈り物」「珍しい手土産」への誘導もできそうな感じです。

また、別の視点からの販促も考えられますが、ここではここまでとしときます。
ご興味があられる、お茶の企画、販促を考えていられる方はご連絡ください。
骨太で、事実で、そして、和についての新しいデザインのインフラを共に創っていきましょう。