【唯一無二の世界観をつくる】ボディコピーのちから

商品名から、その意味を理解してもらう

岩﨑俊一さんです。
僕が大学生のころ、読んだ本で、いまでも時々読み直します。
オッサンでも、女子のように、とろけるような感じになっていきます。
それは、この岩﨑さんが綴るボディコピーがそうさせるのです。
今回は、商品名から浮かぶ、その世界観を増し増し状態にするボディコピーについて記します。

というか、ボディコピーからの商品名です。

これは岩﨑俊一さんが手掛けた、大手弁当屋さんのコピーです。
左のページにボディコピーが書かれてます。ボディを全文掲載するのは憚れますので・・。
いわゆる「名前を考える!」と力んでしまいがちですので、「伝えたいことをまとめる」くらいの気持ちで
まずは、ボディコピーを書いてみる事をお勧めします。

かっこよく書こうとか、読後感に余韻を持たせようとか、最初から「らしい枠組み」を意識するとペンがとまってしまいます。
「この商品にしか言えない事」を意識しつつ、「その商品の周辺」や「その商品への思い入れ」とか「その商品がもたらしそうな事」なんかを、とりあえず、力まず、ツラツラと書いてみましょう。

語彙力なさすぎっ!と嫌になるかもしれませんが、それでもとりあえず書いてみましょう。
私も、これまで作ってきた商品は、全部そうしてきました。
クライアントから「商品名ではなくコピーを」の時でも「キャッチコピー」でも、何かエッセンスを凝縮したような短く強い言葉を依頼された時、もちろん商品名の時も、とにかく最初はボディコピーを書きます。

まず書く、そして眺める。
そして、足らない事や、他に類似するカテゴリーを調べてたり、その商品を買ってくれるだろう生活者のライフサイクルや好みそうなことを調べます。
そして、一旦「仮説」まで落とし込んで、もう一度書きます。
それからは、2~3日は放置します。長い時は、気になりながらも1週間は放置します。
あえて他の事に取り組んだり、食品というカテゴリーから脱出し、例えば「生物とは」とか「小腸は第二の脳」とか役に立ちそうな気配がする本をパラパラと読んでいきます。

実は、このさぼっているような時間の貯金というか在庫があればあるほど、知的ストックが増え、やがて物語やボディコピーを考えるときの引き出しが増えていきます。
この時点で、だいたいこの案件の落としどころ、方向性は見えてきています。

そして、さらに「ほかに視点や解釈を変えれないのか」とストーカーのような執着心を全開にして、ほかの「小説」などをパラパラ見ていきます。
パクってはいけません。あくまで、その小説の文脈の心理描写を参考にするために眺めます。
そういう事象に対して、そのような心理面があるのだな、という発見があります。



例えば、この本は江國香織さんの本の「結婚式」について書かれているところです。
この文章から得られる示唆は、以下の1文です。

「人生がいいものに思える」

結婚式に出席して、しあわせな感情になることまでは理解できます。
しかし、その後に続く「人生がいいものに思える」とまでは、意識できないし、意識できないからこそ言語化できない。
少なくとも、わたしでは到底記すことができない表現だと思います。
つまり、これが参考になるのです。
自分の内面に浮上した「幸せな感情」を視座を高めて、要するに自分を高い位置から眺めてみると、その一言「人生」が出てくるものだと解釈しました。
であれば、今頂いている案件でも、この思考法を用いるとほかの言葉がでてくるのでは、という次の思考のドアの入り口に立つこととなります。

これは半分は技法というかセンスが必要となりますが、そのテクニカルなことだけで突っ走ってしまうと、自画自賛で終わります。
この時に思い浮かべるのは、クライアントの声が聴こえそうか?という自問です。
この言葉や文章は、クライアントが実際に声に出して、話をしても違和感がないだろうか、という検証です。
そしてさらに言えば、この時点でわたしはクライアントに憑依するような気持ちで考え、言語化を進めています。
だからこそ、唯一無二な言葉の分子構造が出来上がっていきます。
それは、ボディコピーが仕上がっていく、少し前あたりの位置になります。

その言葉は、切ったら血が出そうか

この言葉は、ある社会学者さんの本に書いてありました。
それ以来、ボディコピーの最終段階、コピーの最終段階、商品名の最終段階で自問する検証項目です。

血が出そう、ということは、活きている、という事です。
つまり、耐久性というか鮮度を持たせるための自問項目です。

ここまでやってようやく、クライアントに提出できそうなボディコピーやコピー案や商品名案が出てきます。
誰もが知っている言葉で、誰もが知らなかった世界観や意識していなかった価値を伝える。
そして、その価値をクライアントが述べるときに、実際に声が聞こえてきそうな感じに仕上げる。

ですので、ぜひボディコピーから取り掛かることをお勧めします。
企画、販促の方や、HPのタイトル、など文章でのご相談お待ち申しております。

毎回のように言いますが、あなたしか言えない事は必ずあります。
一緒に、探していきましょう。