【キャッチコピーの作り方】意味を探す、意味を作る。

商品と一緒に、意味も買ってもらう

意味と言っても、商品のスペックや紹介も意味と言えば意味ですが、ここでいう意味は
「新しい価値」という意味です。

見た事も無いような商品なら、それだけで新しい価値と言えますが、その新しさの鮮度がいつまで保てるのか。
また、商品を見るたびに、買うたびに、食べるたびに、毎回ちょっとしたいい感じを得れるにはどうしたら
よいのでしょうか。
他の商品との差異を訴求するのもひとつの手段ではあります。
圧倒的なコスパもひとつの手段でもあります。
商品と一緒に、意味も買ってもらう。

そういう消費を促すために、キャッチコピーはあります。
想定外、というか予定調和を覆すようなキャッチコピーには、意味が在ります。
ある商品について大多数のひとが抱くイメージを破壊するようなキャッチコピーには、意味があり、新しい価値も
提示すると思います。
そのキャッチコピーを目にした人に、抱いてもらいたい考えや薄っすらと思っている事を思い出させるような言葉。
その言葉は、クライアントが世間の人をどう思っているか、つまりクライアントの人間観が反映されてます。

役に立つ情報や割引やクーポン情報ばかり伝えているクライアントは、商品のことには詳しいですが、気になるのは
ひとの在り方ではなく、どれだけ売れたか、に重きを置いているように思えます。
市場での競争優位を勝ち取ることは、大切なことであり、避けては通れませんが、果てしない競争に明け暮れるだけでは
単なるモノ売り屋さんになってしまいます。
モノがない時代なら、意味も意義も、売れていくという行為だけで、より豊かに、より幸せにと人の幸福に貢献したことでしょう。
でも今は、在り過ぎます。とにかく、胸焼けするくらい、至れり尽くせり状態です。
新しい意味、価値、も商品と一緒に買ってもらわないと、生活者としては、私がそれを買う理由が分からない、という状況になってしまいます。

そういう時は、クライアントとしっかり話をします。
合意形成を目指し、時には説得にちかい感じで話す時もあります。
会うのが嫌になられてはいけないので、肯定をし、もうひとつの代替案的な感じで話をしていきます。

意味を探すとは、生活者との関係を見つけるということ

例えば、話し方、食べ方、寝方。ひとの様々な仕方。そして、ひとの在り方。
この「方」というのは、そのひとならではの「方」のことを指します。
企業が、生活者に何かを表現する、その時の表現の仕方を考えていくと、だんだんと意味の輪郭のようなものが
見えてきます。
表現したいことの意味を言語化していく時に、いろんなことを、いろんな角度や深度で考えていきますし、クライアントにも
いろんな質問をします。
「見立て」とまではいきませんが、初見で感じた事を頭の片隅に置いて、クライアントと話をします。
いくつかの質問に対して、クライアントが発した言葉を、ノートに書いておきます。
日付や会談の状況なんかも書き記しておきます。
そうすると、後でもう一度振り返る時に、「ああ、あの時のクライアントの表情からは、気迫が感じられたなぁ」など
細部まで思い出したいからです。
この書き記された「クライアントの声」や「状況」は、今まさにクライアントの考えの在り方そのものです。
これはとても貴重な資料になっていきます。
この資料から、生活者に届ける意味を探し、クライアントと生活者の新しい関係を想起するような言葉を作っていきます。
時にそれが、物語のような感じになるときもあります。
その物語とは、届けたい生活者のことを想像しながら書きます。
どんな言葉を組み合わせれば、生活者が関心を持つのか。
その言葉は、生活者に驚きや期待感、そして、諦めていた事さえも思い出させることができるのか。
その言葉は、いまの生活者の在り方に、問いを立てれそうか。
その言葉は、新しい考え方を示唆するものか。

そして、その物語を話すクライアントは、その言葉と繋がっているのか。
普通の言葉で、普通以上の在り方を提示している、言葉なのか。
などなど、価値を感じる言葉になっているのか、総点検しながら考えていきます。

今の日常から、これからの日常の在り方を抽出していく

未来を語るには、本来の事から考えなくてはいけません。
人の心理変容を期待されるキャッチコピーやタイトルには、その責任があります。
「そう言えば、そうだよな」
「ああ、確かに」とか「そうか。なんか再認識できたな」などの感情が、意味や価値を感じている状況に在ります。
だから、思ってもいない事は書けませんし、無理やり感が出てきます。
どっかから借りてきた言葉も、たとえ商品が良くても、借り物のキャッチコピーのせいで、既視感満載になります。

例えば、たまに見受けするいちごの商品名やキャッチコピー。
「天使のいちご」
例えば、ちょいちょい見る
「新鮮!有機野菜」
たまに見るクッキーやお菓子の
「手作りです!」


いちごは、天使のようにカワイイ、ということなのでしょうが、もう少し踏み込んで書いてみてはいかがでしょうか。

可愛いイチゴさん。
だけど、お父さんはそれを食べる、君のほうがもっと可愛い。


安心安全な有機野菜。鮮度がとてもいい、ということなのでしょうが、他店の有機野菜と何がちがうのでしょうか。
よく生産者の顔写真とかも貼ってありますが、であるのならば。

どこからが安心でなくなるのか。
その安心はどのような努力がなされているのか。
なぜそうまでする必要があるのか。


などの事実を集めていくと、

土の番人
野菜から強さをもらう
今日も、世話をしに行く

など、新鮮だよと書かずに、新鮮さを感じてもらえるような表現をしてみてはいかがでしょうか。



組んでみる

価値や意味も、いったんは言語化しないと先に進めません。
それが、新しい意味や価値なら尚更だと思います。
コピーライターと組む。
わたしは、依頼を受ける立場ですから、平たく言えば案件という言い方になると思いますが、それだと、どうも
仕事色が強くなりすぎて、受けるから言葉を作る、という作業のような感じがしてしまいます。
ですので、組んでともに今まで無かった強い表現で、そのカテゴリー自体を塗り替えるようなことを一緒に
やりませんか?という考えの在り方で仕事をします。

とくに今回のブログで言いたかった、キャッチコピーについては、コピーライターと組むことをお勧めします。
商品は良くても、その傍に書いてある言葉で、その商品が身にまとう気配のようなものは、作られると思います。
最後に、手作りクッキーのキャッチコピーを書いてみます。

あたりまえに、染まり切る前に。

ちょっと抽象的かもしれませんが、余白を使って、シンプルに表現していくやり方です。
ここでいうあたりまえ、とは大量生産のクッキーを示しています。
コンビニやスーパーで買うやつですね。
聞き慣れた「手作り!」と書かず、あなたの日常に在るクッキーを買う、その行為そのものが意味することに
若干のアンチテーゼ的な意味合いを持たせたキャッチコピーです。
コンビニで当たり前のように買う、その行為に染まり切る前に、この手作りの味を知っておいてください、ということですね。

このように、日常にこそ、問いを立てていくと、おのずとその答えがキャッチコピーという表現になっていきます。
コピーライターと組む、とはそのような道筋で、価値ある言葉を探す、ということです。

どうぞ、一緒に組んでいきませんか?
ご連絡お待ち申しております。