どう描くか
多くの商品が「それってそんなもんだよ」という常識の枠内にありますね。
麻痺に近い感覚とでもいいましょうか。
思考停止に近い感覚とでもいいましょうか。
自社店舗なら、競合する商品と並べられることはないので、言いたいことを言えますね。
でも、多くの商品が、問屋、流通を経て、スーパーなどに並びます。
選んでもらう為には、なんらかの表現で、手に取ってもらわなくてはなりません。
様々な手法がありますが、どう構築していけばよいのでしょうか。

より良い関係性を構築する
その商品の「これまでの在り方」を書き記していきます。
「これまでの在り方」とは「これまでの商品と購入者の関係」ということです。
特に、リピート購入者と商品の関係が良いと思います。
例えば、元プロの料理人が長年研究した結果に到達した「カレー」があるとします。
プロですから、それはそれは奥深く、重厚な美味しさで、一口食べると、一発で記憶に残るカレーです。
そのカレーを常温レトルトで販売しています。
忙しい時や、ちょっと楽をしたい時に重宝しますね。レンチンで、レストランの味が再現されるわけです。
しかし、レッドオーシャンのレトルトカレー市場。
いくら美味しくても、次から次へと、あの手この手で、新しいカレーが出てきます。
しかも、価格も安く。
だんだんと、販売数が減ってきました。
価格は、プロの料理人が作っているので、人件費がかかります。
工場で作る大量生産とは話になりません。
どう対処していきましょうか?

商品棚に「少しアンチテーゼにも思えるPOP」を設置してみます
例えば、こんな言葉をPOP候補として検討していきます。
常識を打ち破る美味しさ
普通に美味しいは、飽きの始まり
常識的な美味しさは、ややつまらない
常識とは、思考停止のはじまり
あたり前の美味しいを疑え
など、「常識」とか「あたり前」という、目の前の「フツウ」をアンチするのです。
破壊と構築のように、いったん生活者に「問う」という手法は、かなり効きます。
より良い関係性を構築するには、ひとの感覚に訴求する言葉、コンテクストを設計していくような感じです。
ひとの感覚を掘り下げて、考えていくのです。

先ほどのカレーの場合
まず、これまでの在り方は、そもそもレトルト食品であったこと。
いくら、プロの料理人が作ってます、と言っても、ライバルが多すぎる事。
ですので、せっかく築き上げてきた、生活者との関係性も、だんだんと希釈されてきました。
つまり、プロの料理人が作っている、という効能が効かないほど、それ以上のスペックを持つ商品に居場所を奪われたカタチになりつつある状況だ、と言えると思います。
だからこそ、商品の改良という再設計をするのではなく、ひとの感覚を掘り下げていくのです。
どういうことか?
設計から人の感覚の企画を考え抜く、ということです。
具体的に言います。
レトルト食品は、期待されて買われる、というより、あって良かった、とか助かるとか、日持ちするのでそういう感覚で買われていると思います。
そこをもう少し、掘り下げて考えます。
本当は、ちゃんと作りたいけど、という「ほんとのトコロ」が見えてくると思います。
その感覚が考え抜いた先の、到着地点だと思います。
いったん、アンチ的なPOPで常識を破壊しといて、そこに、「ほんとのトコロ」的な言葉を組み込むのです。
この思考法は、商品のリブランディングにもなります。
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