【リフォーム業界の方へ】日常を深掘りする。コピーライターが考える、記憶されるリフォーム誌の物語化。

広告やCM、セールスレターやメルマガで使える、ひとの心象風景

コピーライターは、キャッチコピーやステートメントなど文章全般を考え、書き記していきます。
特に、キャッチコピーや商品名に至るまでは、あれやこれや考えます。

販売される場所。
その商品の社会的な意義。
それを作る情熱や哲学。
「切実さ」が内包されていそうか?
「問うこと」ができそうか?
などなど、短いキャッチコピーや商品名だからこそ、あらゆる視点から考え、書き記します。
考えていると、悪魔のような声が遠くから聞こえてきます。

AIでいいんじゃね?

確かに、AIに商品名やキャッチコピーを依頼すると、ものの見事に完成された例題が、これでもか!と出てきます。
中には、「さすがですね」って言いたくなるような言葉も見受けられます。
でもどこか機械的なんですよね。ま、機械ですが。
特に、画像なんかは、白々しいまでの完璧な画像や写真が多いですよね。

不完全さの美を忘れていないだろうか

陰影礼賛や岡倉天心が述べていた論が、消滅しかけているように思えます。
不便さを求める高所得者はいますが、それでも圧倒的に数の多い一般人にとっては、高尚な教養としか認識されないのが現実だと思います。
ではどうするか?
一般人でも、なんとなくいいね、と思えるようなショートストーリーをセールスレターやメルマガ、マルシェなどの出店時に伝えてみませんか?
日常の中を、掘り下げて観察してみると、不完全な生物である人間だからこそ、響く要素があったりします。


一番奥に在るモノ

毎日、開けては取り出し、洗っては収納する食器棚。年季が入ってくると、取っ手の所が削られていき、購入時からの時間の長さを感じたりしますね。
今回、この食器棚について、ショートストーリーを書いてみます。

微動だにせず、いつ使ったのかさえ分からない大皿が、食器棚の一番奥に鎮座している。
他の茶碗や中皿、取り皿たちは、毎日出たり入ったり忙しそうだ。
一日の役目が終わって、静けさに台所が包まれいる。

夜中にトイレに行き、冷蔵庫から冷たい番茶を取り出し、コップを取ろうと食器棚に手を伸ばす。
居る。
ヤツが、気配を消しながらも、こちらの様子を伺うでもなく、その薄い灰色の躯体を横たわらせている。どこかお地蔵さんのようでもある。
その大皿と、視線が合ったような気がして、思わず食器棚の扉を閉めた。

昼間の会社での出来事が、蘇ってきたのだ。

私は、55歳。一応、営業企画のマネージャーという立場だが、PCスキルがまったくだめで、せいぜいワードと基礎的なエクセルしかできない。
管理職なので部下の企画書をチェックする立場なのだけど、自身も企画書を作ることも、会社上層部からは求められる。
悲しいほどに文字だらけの企画書しか書けない。
時々、イラストやグラフを思いやりのある部下にお願いして加工を手伝ってもらっている。

実は、何度も聞くのも恥ずかしいので、今日はその企画書にグラフを貼り込むやり方を、女子社員に教わっていた。
その女子社員は、理系出身ということもあり、テキパキ理路整然と仕事をこなし、言動もまたそれに合うような感じなのですが、
その教わっている光景を、他の人が見たら、まるで新入社員教育の一コマのようになってしまうのです。

だから、あまり周囲に人が居なくなってから教えてもらっていたのですが、運悪く、本部長が私に所用があったらしく、熱血指導中を見られてしまったのです。
後ろにひとの気配を感じたので、振り向いたその時、本部長と視線が合いました。

同情と薄っすらと「相変わらずだな」という諦めが混じったような目でした。
わずか数秒で本部長は立ち去ったのですが、まるで見て見ぬふりをされたようで、我が身の孤独感が募ったのでした。

非マジメ

マジメな考え方で行くと、不要かもしれない大皿と、戦力外かもしれない自身の立場、となるのですが・・。
非マジメな思考でいくと、大皿も私も、じつはその存在そのものが、頼りになっている、ということに気づく。
つまり、こころに余裕を持ってみる。そして、会社でトラブルがあったら率先して私が解決していこう。
そう思えると、いつでもなんでもできるぞ、と思えるようになったのです。

きっと大皿は、それをわたしに教えたかったんだ、とも思えるようになっていきました。
今夜は、お刺身の大盛りを買ってきて、ヤツに盛ってみようと思いました。

創造性を鍛えるために、日常を観察する

コピーライターにとって、観察する癖は、もはや酸素を吸うくらいの自覚なき症状です。
完成された日常の様々なモノたちを擬人化したり、「もしおれがこの椅子だったら」とか「このトースターよりも熱き仕事をするのは家族で誰だろうか」など、観察から、妄想し、そこに「あったかみ」や「明日への希望」みたいなポジティブな要素を入れ込んでいきます。

また、不思議がることも大切ですね。
なぜ、バケツやコップや水筒は丸いのか。
なぜ、日本の車のマークは、ほぼほぼ会社名のアルファベットの頭文字なのか。
道路のアスファルトは便利だが、自然形態にとってはどうなのだろうか・・。

このような日常の物語化は、既視感あるCMや広告、そしてセールスレターを、もっと手触り感が感じられるコンテンツに変えていきます。
長期的なお客様との関係を続けていく上で、ナラティブな語りは、とても有効だと思います。

ご相談などありましたら、メールにてご連絡ください。