果物がある生活には、心地よさが生まれる。

いつの頃からか。我が家の食卓に果物が並ばなくなった。
特に気にもせずいたが、果物を中心としたパフェが人気のカフェのオーナーから、集客と売り上げアップのご相談を頂いたのをきっかけに少し調べてみた。
すろと我が家だけでなく、世の中全体で、ゾッとするくらい、果物離れが進んでいた。
それは、まるで魚離れの状況のようであったし、それ以上の見えにくい深刻さがありそうでした。
コピーライターは、キャッチコピーを考えたり、ステートメントやストーリーテリングを応用し、セールスレターを書いたり、あらゆる文章を書きます。
言語化し唯一無二の物語を編み出し、なんらかの課題解決に寄与する世界観を創っていきます。
ですので、集客であれば、そのお店の特徴を掴み、そのカフェにしか言えない事を見つけに行きます。
現状をマクロ的に観察し、「なぜそうなのか?」をミクロ的に因数分解していきます。
果物離れがなぜ加速したのか。
皮をむくのが面倒だ。サクッと食べれない。種類によっては種が面倒だったりする。ビワに至っては、皮をむく割には、あのほのかな甘みの果肉は少ない。いくら栄養価があると言っても、絶対に食べなきゃ生きていけないわけでもない。
つまり、生活必需品ではないと言えます。
少し、調べると昔から果物は高級品のようでした。明治の頃の果物のコピーは「富国の源泉」と表現しています。

また、そもそも飽食の時代でもあります。
甘いものを食べたければ、お菓子、ケーキ、チョコなど選択肢はたくさんあります。
果物を食べない理由は、たくさんありそうです。では、このままほとんど買わない、食べない状態が続くとどうなるのだろうか?多くの方は、日常生活をするうえでは、特に支障を感じる事はないと思います。現に今がその状況なのですから。
何らかの「切実さ」を感じない限りは、事態は好転しないでしょう。
それでも、現状の中に、見えていない「切実さ」は内包されていないか?、と考えていきます。
「在り方を、問う。」というスタンスで日々を暮らしているコピーライターは、必ず見つけます。
自然観が失われていく現代。
最近よくスーパーでは、カットフルーツが販売されています。
皮をあらかじめスーパー側で向いて、食べやすいサイズにカットしてくれている便利なヤツですね。
でも私だけがそう思うのかもしれませんが、カットされたものよりも、そのままの状態で販売されているほうが、美味しそうに見えてしまいます。
瑞々しさ、シズル感とでも言いましょうか。
カットされたものは、果物ではない、何か別のもののように感じてしまいます。不思議ですね。
同じようにカットされたお刺身では、美味しそうに盛られているせいか、そこに違和感を覚えることはありません。
逆に、魚を丸ごと貰うと大変困ります。
自然観とでも言いましょうか。いずれ、果物も、お刺身の様に違和感なく、カットされたものの方が、主流になっていくのでしょうか・・・。
果物の甘みは、自然由来。
桃の柔らかく、まるでシルクの様な滑らかさを感じる甘さ。苺は、ほかの果物と違い、甘酸っぱさが一気に広がります。
スイカは、甘さというよりも、盛夏を感じながら、おほのかな甘い水分を食べる、という感じでしょうか。
なぜ、それぞれ甘さが違うのか分かりませんが、生物学上の理由があるのでしょう。
いずれにしても、果物は、人工的ではなく、それぞれが独自の官能的な自然な甘味を持つ、ということが言えると思います。
この、「甘味」が、コンセプト開発において、クリティカルなポイントだと、後ほど理解することとなりました。
結構怖い、人工甘味料。
天然甘味料は、植物の葉や果実などに含まれる甘味成分を抽出して作られたものであり、合成甘味料は、化学合成によって人工的に作られたものをいいます。「人口甘味料」は、主にダイエット飲料、ガムなどの菓子類に使用されている自然界に存在しない人工的に合成された甘味料のことをいいます。
人口甘味料は、砂糖と同様の1g当たり4キロカロリーなのですが、甘味度は、なんと砂糖の数百~数千倍あるようです。
つまり、少量でも強い甘みを感じるということです。
そのため、摂取カロリーの抑制、血糖値の上昇を抑制する効果が期待されており、肥満や糖尿病の予防などに有用な可能性があると言われています。しかし一方では、その味覚的刺激や腸内環境の変化を介して、糖代謝に影響することが考えられており、どうやらデメリットもあるようです。
アスパルテーム
2022年に発表された内容を記します。
人口甘味料の摂取量が多い人は、あまり摂取しない人と比べると、がんと診断されるリスクが高いことが判明しているようです。また、人口甘味料の種類別にみたときに、最も発がん性が高いという結果が出たのが、アスパルテームなのです。
特に、乳がんのリスクが上昇することが判明しているようです。
そして、そのアステルパームは、2023年7月に「人に対して発がん性がある、可能性がある」と、少し遠回し的な言い方ですが、IARCブループ2Bに分類されているようです。
これは、国際がん研究機関(IARC)、WHO、国際食糧農業機関(FAO)の食品添加物合同専門委員会(JECFA)から発表されたようです。一応、4つの発がん性分類を記しておきます。
グループ1:人に対して発がん性がある
グループ2A:人に対しておそらく発がん性がある
グループ2B:人に対して発がん性がある、可能性がある
グループ3:人に対する発がん性について分類できない
腸内環境が悪化する
近年「腸活」が流行っているようですね。
腸内環境を整える事により、心身共に良い効果が期待できるという背景がありそうです。
その腸内環境に大きく関係するのが「腸内細菌叢(ソウ)」というものです。
人口甘味料が、その腸内細菌叢に影響することが判明しているようです。例えば、人口甘味料のひとつであるサッカリン。
このサッカリンは、耐糖能(血糖値をコントロールする能力のこと)の悪化が見られ、耐糖能異常に影響を与えている可能性が指摘されているようです。
また、脳腸相関という言葉をご存じでしょうか?
腸は、第二の脳、という言葉は知っている人も多いかと思いますが、分かりやすく言うと、脳から腸への情報伝達があります。
例えば、緊張するあまり、お腹が痛くなる、という状況ですね。しかし、「相関」というくらいですので、実は腸から脳への情報伝達もあり、むしろその方が多いようなのです。
つまり、何が言いたいのかというと、摂取された人口甘味料が、腸から脳への情報伝達に悪影響を及ぼすのではないか、と考えられると思います。

さてここまで、甘味を中心に事実を並べていきました。
ここからは、価値の変換を視野に入れながら、社会的な状況を見ていきます。
VUCAと言われる現代社会
V:Volatility(変動性)
U:Uncertainty(不確実性)
C:Complexity(複雑性)
A:Ambiguity(曖昧性)
VUCAとは、簡単に言うと、先行きが不透明で将来の予測が困難な状態の事を言います。
会社の意思決定、事業や商品の開発、引いては、自分の人生設計まで、他人任せで、安穏としていては、どうなるか分からない、という事を意味します。
つまり、考え方、生き方そのものを、自分でしっかり捉えて、情報過多の時代に、流されない軸を持つことが大切になってきます。
流されない軸を持つ、とはどういうことでしょうか。
コピーライター的に言えば「事象の在り方を問う」ということになります。
「鵜呑みにせず、流されずに、どうして?と問う」ことになります。
目に見えている事象を問う。そこに、解決した方が良い課題がありそうか、見ていく。
一見、見えていなくても、見えるカタチまで(言語化)持っていきます。
イメージする想像力。クリエイティブな創造力。
これらは、山口周さんがリベラル・アーツの習得の必然性として唱えられています。
わたしは、このリベラル・アーツをきちんと体系的に学習したわけではありませんが、職業柄、能動的に勉強をしてきました。
これまでの実体験から言えることは、ボーっと生きていると、感性までもが、コモディティ化しそうだ、と思います。
あまりにも、問う事をしなさ過ぎると、人が口にするものにでさえ、何の疑問も持たないことになります。
そんな生き方で、先に述べたVUCAな時代を乗り切れるのでしょうか。
確かに、国が基準値以内と認めているとしても、人が口にするものに不自然さはあってはならないと思います。
ブラックボックスとまでは言いませんが、手軽さ、効率的、人工的だけで作られた加工食品は、やや疑うくらいの姿勢が求められると思います。
食べる。胃で消化し、腸でジャッジメントされ、栄養が吸収される。その栄養が、脳へと伝わっていく。
だからこそ、味噌もそうですが、脳腸相関や腸内環境を意識した食の在り方を知る必要があると思います。
知らせるためには、今回ご依頼のカフェは、もともと市場の仲卸をしていたこと。
その知見から、新鮮な果物を仕入れるルートを持っていること。そして、果物に関する深い専門知識が在ること。
そんなカフェだからこそ、その知らしめることを、今言う必要があるかと考えます。
果物を食べるとは、感性を取り入れること。
このコンセプトを元に、単に新鮮な果物を提供したり、パフェを提供したりするのではなく、感性を育むために、旬で新鮮な果物を食べて頂くというカフェ内の意識改革に貢献することとなりました。
コンセプトを開発するには、何のためにそれを行うのか、という大義のような要素が必要です。
必要ですが、絵に描いた餅では、なかなか実装されません。ですので、事実を調べます。そして、どうやら解決しなくては、今は良くても、将来的に良くない未来になりそうだ、など中長期的なビジョンの要素も含みます。
ありきたりのスローガンでも違います。実装されていく事で、自ずと独自の世界観が伝わっていきます。
ご相談などお気軽に連絡ください。
一緒に考えていきましょう。