言葉は、感性のツール。
およそ言葉にしにくい”感性”を、AI台頭の時代だからこそ、人間味が残る領域、つまり”語られにくい文脈”を言語化することで、共感を生み、生活者への橋渡し役となります。
言葉は”感性のツール”と言えます。
またこれは、”独自の感性資本”を構築することに繋がり、企業に置いては、競争優位性を持つことを意味します。
このブログの目的は、”伝わること”を深掘りし、実利だけではなく、感性を付随させて競争有利なポジションを得よう、と提言することにあります。
クリエイティブや、販促、広告の現場に新しい視点を、実体験を元にお届けします。
実例 | ジグソーパズルが開花させた。
これまで、普通のお土産のカステラをエシカルな消費への価値の変換を行ったり、普通のレトルトカレーをスペックや機能面ではなく、情緒豊かなコピーを添えて物語化に昇華したりしてきました。
どちらも食品という意味では、熟考はしたものの、世界観を描くという意味では、まったく手足が出ないわけではありませんでした。
しかし、今回ご紹介する実例は、オンラインゲームやYoutube動画が主流の時代において、アナログな遊びのジグソーパズルなのです。そのパズルが、ひとの感情の記憶を揺さぶった、病院での実話を紹介します。
意欲を、組み立てるパズル。

病床100室くらいの病院のリハビリステーション。
これまでは、指先の動作、確認のために”折り紙”でリハビリをされていました。端から見れば、特に問題もないように見えました。
しかし、そのリハビリステーションの管理監督者に少しお話をすると、男性患者の折り紙のリハビリの参加が著しく良くない、とのこと。
そこで、付き合いのあるジグソーパズル屋さんに相談し、試作品を作ってもらいました。
この、病院は佐賀県小城市にある、江口病院。
今年の1月に他界した、私の父もこの病院に長期入院をしていました。
そのお見舞いのたびに、リハビリ室に立ち寄っていましたが、確かに折り紙のリハビリは女性患者さんばかりでした。
試作品は、私の父と私の娘、そして弟の子供の3人が写っている、お正月の一コマ。
この試作品で、父の”退院して、また孫に会いたい”という”意欲”に火をつける為に、試験的に作って、父に渡してみました。
ひとは、食べたい、飲みたい、寝たいなど生理的な欲求が在ります。
特に、健康面での理由で、食事制限などの制約が課されている高齢の入院患者さんにとって、生きる意欲の着火点になるのでは、と考えました。
その”欲”に火が付けば、心理変容から行動喚起へと繋がるのではないか、という狙いです。
果たして結果はいかに。
写真としては見覚えのある、数年前の孫たちとの写真ですが、それがパズルとなって目の前に出された。
そして、「今からこれを15分以内で組み立ててください」、とリハビリ担当の声と同時に、大きめのデジタル表示のストップウォッチがカウントを始めました。
父は、最初こそ戸惑い、ピースを探すことへの集中と、15分以内で、という入院患者にとって、久しぶりの時間との闘いに、いつもより明らかに、目に力が宿っていました。
少しずつ、孫の顔や自分の顔が整っていきます。
ここまでくると、このアナログなゲームリハビリを完成させなくてはならない、という使命感のようなものが芽生えたのでしょう、床の間の壁のピースがなかなか見つかりません。
時間が気になるようで、「んー。どれかいな!」とまさに、真剣勝負の様子でした。
無事に、時間内でパズルを組み立てる事に成功した父は、監督者に笑顔でひとこと「間に合った?」そして「ああ、良かった。また別のパズルを今度はやってみよう」と満足げに病室に戻っていきました。
記憶されていた、孫とのお正月の体験が、ひとつひとつ組み立てられていく度に、蘇ってきました。
これがデジタルだと、クリックひとつなのでしょうが、パズルは考える時間を必要とします。
この時間が、父の埋もれていた感情を開花させた瞬間でした。
実は、この「意欲を組み立てるパズル」は、病院側からの依頼ではなく、ジグソーパズル屋さんからの相談でした。
主に、企業やウェディング関連からの発注が多く、個人からの依頼は、年々減少傾向にあったのです。
企業関連は、ピースの数も多く、それなりの金額となりますが、一回限りが多く、売り上げの安定化に苦慮されていました。
そこで、パズル屋さんの社長にご提案申し上げたのが、ひとの感性を刺激する、意欲を組み立てるパズル、というものでした。
患者さんもリハビリに意欲的になる。
病院側も視点を変えた取り組みに、マンネリ化が防げた。
そして、パズル屋さんも、早速自社サイトにこの企画をアップし、全国からの発注を狙っておられる、とのことでした。
他県からの受注は、これまでもあっていたのですが、”意欲を組み立てる”という、感性に訴求するパズルの拡販展開に社長も、個人客への新しいアプローチに、意欲満々のご様子でした。
活用事例 | 不動産の価値の再構築。

リフォーム・不動産関係。
少子高齢化、空き家問題など社会構造の変化や建材の高騰、人手不足と業界を取り巻く課題は山積されているようです。
一見、感性が資本となるようには思えないのですが、住環境を整える、という意味において生活者は無関心ではいられません。
それどころか、快適な暮らしではなくても生活の基本である寝食の空間、という意味では、今後ますます感性の訴求が必要になります。つまり、どうしても問合せをしたくなる会社、という感性の設計を狙います。
このshimauchi-design.comでも以前ご紹介しました、「空き家の利活用」に「感性資本を応用した、キャッチコピー」をご案内致します。
要点。
誰に伝えたいのか? その「誰」をしっかりと捉える。
その人にどう思ってもらいたいか? 時代背景や読み手のインサイトを考え、心理変容を構想する。
ステートメントを書いてみる コピー到達への土台のようなもので、思考を広げるために書く。
読み手の体験に訴求する要素があるか? 体験には記憶が紐づいています。その記憶にシンクロするような要素を探す。
ぜんぶ、15分のせい。
徒歩15分の価値。
駅まで歩いて15分のマンションの分譲販売広告のコピー。15分というと、歩くのか、自転車かと迷う微妙な時間。
その駅からマンションまでの15分間を、そこに住む家族それぞれのちょっとした課題が解決するような物語をボディコピーで書きました。
世帯主である男性は、昨夜ベッドの中で、明日は朝礼の当番日だということを思い出しました。
何を話そうか。トランプの関税?それとも、先週家族で行ったおいしい和食のお店の紹介?
いまいち、ピンと来ないまま翌朝を向かえてしまいました。
マンションの玄関を出て、残暑の暑さの中駅まで歩かなくてはなりません。
数分、リズムよく歩いていると、一人暮らしのおばあさんが、植木に水をやっていました。
「おはようございます」と声をかけると、「ああ、おはようございます。気を付けていってらっしゃい」とお返しが。
そこで男性は、閃きました。
そうだ、駅を中心に半径2kmの独居老人を調べて、お悩み事や、相続についての需要があるのか調べることを朝礼で言ってみよう。
男性は、今日の朝礼がまとまったことで、さらに心地よく革靴を鳴らして駅の改札をくぐりました。
男性に遅れること10分後。バタバタと奥様も玄関を出て、残暑の中を歩き始めました。
出かける前に、ちらりと冷蔵庫の中をチェックした奥様は、パート勤務のスーパーを退社した後に、その勤務先で何を買おうか、思いを巡らせていました。
しばし歩いて、交差点で信号待ちの時、街中華の入り口付近に、キャベツのイラストが入った段ボールが視界に入りました。
そうだ、確か今日はスーパーのお肉が2割引DAYの日だった!
たしか、野菜室にはキャベツ、タマネギ、ニンニクがあった。
今夜の夕食のメニューが整った瞬間です。
奥様は、回鍋肉をニンニクたっぷりで作ろうと思い、軽やかに駅の改札を抜けていきました。
男性が出かけるちょっと前に、男の子の兄弟がそろって学校に向かいました。
二人ともサッカー部なので朝練があるため、家族では一番先に家を出ます。
実は長男は、夏休みの宿題の作文がまだ未提出で、今週中には提出しなくてはなりません。
もともと活発で運動が好きで、本をあまり読まない長男は、原稿用紙を前にすると固まってしまうくらい、思考停止になるタイプ。昨夜も書こうと机に向かいましたが、鉛筆が動くことはありませんでした。
書こうとしても、まったく動いてくれない鉛筆に長男は、こうつぶやきました。
「少しは動いてくれよ」。
あと5分くらいで学校に到着するときに、通学路なので、交通安全、歩行者優先などの看板がありますが、ひと際目を引く人形が視界に入りました。交差点でよく見る、右手を挙げた人形です。
「ずっと動かないなんて。オレには無理だな」。
そう思った瞬間、昨夜の自分の鉛筆を思い出しました。動かなくても役に立っている人形。
動いて欲しいけど動いてくれない鉛筆。
なんとなく長男は「動かないけど役に立っているもの」というテーマが思いつきました。
今日家に帰ったら、お母さんにお願いして、スマホを借り「世の中で、動かないけど人の役にたっている物」を調べてみようと思いました。
長男が整った瞬間です。
そう思えたら、いつもよりボールを遠くまで蹴れた気がしました。

兄と一緒に出た次男。
彼には、お母さんから「もう少し机の上や、引きだしを整理しなさい」と再三言われていることが、とってもうるさく感じていました。
好きなものを好きなだけ詰め込んだ引き出しは、まるで手つかずのジャングルの様に、神が創造した世界が広がっています。
机の上は、とりあえず片づけは完了したのですが、問題は引き出しをどう整理するのか。
引き出しは、3つあります。
下の引き出しが一番大きく、一番上が小さいパターンのよくある学習机です。
兄とは二つ違いの為、それぞれお爺ちゃんが買ってくれたものです。
洋服とか鞄とか、兄のお下がりが多かったので、この自分だけの机には、とても思い入れがあるのです。
性格も兄とは対照的で、物静かで、図鑑を読むのが大好きな少年です。
ただ、その好きさ加減が度を過ぎると、他人には理解できない、混沌とした世界が、引き出しには広がっているのです。
自分の好きなようにしたいけれど、お母さんが整理整頓しないと、気が散って勉強に集中できないよ、と小言を言い続けます。
何とかしなければ・・・。
先を歩く兄の右側に、一人暮らしのおばあさんが、植木に水をやっているのが見えました。
兄弟そろって「おはようございます!」と元気よく挨拶し「はい、おはよう。車に気を付けてね」とお返しが来ました。
そのおばあさんが大切に育てている植木は、ひな人形の様に三段に分かれていました。一番下には、立派な苔が生えた松の木。
二段目には、名前は知らないけど、黄色や紫の花が咲いています。
そして、一番上の棚には、小さなサボテンやむくむくした多肉植物たちが肩を並べて、こちらを見ていました。
すごくきれいだな。こうやって大きさや、色が付いたものと、あまり色が無いものを分けて置くとすっきりしてて、気持ちいいな。
次男の引き出し問題が、整い始めた瞬間でした。
彼は、頭の中で、まるで自分が引き出しの中のモノたちに、神様の様に振る舞う姿を想像し、改めて自分が、あの机の主なのだ、と威厳めいた感情を覚えたのでした。
自転車でもいいけど、歩く速度の方が、不思議と考え事が整うことがあります。
15分も歩くのか、というネガティブな要素の価値の変換を狙ったコピーです。
感性資本とは | 顧客の記憶や感情に寄り添う、現実的な戦略
B2Bの食品製造業、医療関係、リフォームや不動産業。
ひょっとしたら”政治”の領域にも、感性が資本となる時代では?と思えてなりません。
商品のスペックは、政治で言えば政策になるでしょう。建築業で言えば、その住環境の快適さや利便性に該当するでしょう。
そのようなロジカルな情報は、実利面において必須項目であることは間違いありません。
それでも、価格やスペック以外の”独自の価値”や”企業姿勢が伺えるような未来像を深掘りし発信する”意義は、感情的な価値が購買を後押し、競争優位なポジションを会得することは、間違いありません。
それが、感性資本の中核を成す部分です。
問合せを増やしたい。差別化をもっと際立たせたい。価格以外での訴求法にお悩みの方など、ご相談ください。
もし、費用面でご相談を躊躇されている場合は、島内デザイン事務所は、佐賀商工会議所、佐賀県商工会連合会の専門家登録をしております。
佐賀商工会議所や商工会連合会の会員さんであれば、専門家派遣制度をご利用ください。3回まで無料でご相談、打合せが可能です。
