【不動産業界の方へ】感性資本を応用する。空き家対策に、感情を揺さぶるキャッチコピー。

要点

誰に伝えたいのか? その「誰」をしっかりと捉える。

その人にどう思ってもらいたいか? 時代背景や読み手のインサイトを考え、心理変容を構想する。

ステートメントを書いてみる コピー到達への土台のようなもので、思考を広げるために書く。

読み手の体験に訴求する要素があるか?体験には記憶が紐づいています。その記憶にシンクロするような要素を探す。

このブログ記事で理解できることは、コピーの開発の背景やコンセプト、狙い等を事例で詳しく解説致します。
不動産業界は、人口減少、若者の都市部への流入、それに伴い空き家率の上昇などの問題を抱えています。
高齢者向けの不動産や空き家の利活用などの問い合わせが増えるようなコピーをご紹介します。

事例①

ぜんぶ、15分のせい。
徒歩15分の価値。

駅まで歩いて15分のマンションの分譲販売広告のコピー。15分というと、歩くのか、自転車かと迷う微妙な時間。
その駅からマンションまでの15分間を、そこに住む家族それぞれのちょっとした課題が解決するような物語をボディコピーで書きました。

世帯主である男性は、昨夜ベッドの中で、明日は朝礼の当番日だということを思い出しました。
何を話そうか。トランプの関税?それとも、先週家族で行ったおいしい和食のお店の紹介?
いまいち、ピンと来ないまま翌朝を向かえてしまいました。

マンションの玄関を出て、残暑の暑さの中駅まで歩かなくてはなりません。
数分、リズムよく歩いていると、一人暮らしのおばあさんが、植木に水をやっていました。

「おはようございます」と声をかけると、「ああ、おはようございます。気を付けていってらっしゃい」とお返しが。
そこで男性は、閃きました。
そうだ、駅を中心に半径2kmの独居老人を調べて、お悩み事や、相続についての需要があるのか調べることを朝礼で言ってみよう。
男性は、今日の朝礼がまとまったことで、さらに心地よく革靴を鳴らして駅の改札をくぐりました。

男性に遅れること10分後。バタバタと奥様も玄関を出て、残暑の中を歩き始めました。
出かける前に、ちらりと冷蔵庫の中をチェックした奥様は、パート勤務のスーパーを退社した後に、その勤務先で何を買おうか、思いを巡らせていました。

しばし歩いて、交差点で信号待ちの時、街中華の入り口付近に、キャベツのイラストが入った段ボールが視界に入りました。
そうだ、確か今日はスーパーのお肉が2割引DAYの日だった!
たしか、野菜室にはキャベツ、タマネギ、ニンニクがあった。
今夜の夕食のメニューが整った瞬間です。

奥様は、回鍋肉をニンニクたっぷりで作ろうと思い、軽やかに駅の改札を抜けていきました。

男性が出かけるちょっと前に、男の子の兄弟がそろって学校に向かいました。
二人ともサッカー部なので朝練があるため、家族では一番先に家を出ます。

実は長男は、夏休みの宿題の作文がまだ未提出で、今週中には提出しなくてはなりません。
もともと活発で運動が好きで、本をあまり読まない長男は、原稿用紙を前にすると固まってしまうくらい、思考停止になるタイプ。昨夜も書こうと机に向かいましたが、鉛筆が動くことはありませんでした。
書こうとしても、まったく動いてくれない鉛筆に長男は、こうつぶやきました。

「少しは動いてくれよ」。

あと5分くらいで学校に到着するときに、通学路なので、交通安全、歩行者優先などの看板がありますが、ひと際目を引く人形が視界に入りました。交差点でよく見る、右手を挙げた人形です。

「ずっと動かないなんて。オレには無理だな」。

そう思った瞬間、昨夜の自分の鉛筆を思い出しました。動かなくても役に立っている人形。
動いて欲しいけど動いてくれない鉛筆。
なんとなく長男は「動かないけど役に立っているもの」というテーマが思いつきました。
今日家に帰ったら、お母さんにお願いして、スマホを借り「世の中で、動かないけど人の役にたっている物」を調べてみようと思いました。

長男が整った瞬間です。
そう思えたら、いつもよりボールを遠くまで蹴れた気がしました。

兄と一緒に出た次男。
彼には、お母さんから「もう少し机の上や、引きだしを整理しなさい」と再三言われていることが、とってもうるさく感じていました。
好きなものを好きなだけ詰め込んだ引き出しは、まるで手つかずのジャングルの様に、神が創造した世界が広がっています。
机の上は、とりあえず片づけは完了したのですが、問題は引き出しをどう整理するのか。
引き出しは、3つあります。
下の引き出しが一番大きく、一番上が小さいパターンのよくある学習机です。
兄とは二つ違いの為、それぞれお爺ちゃんが買ってくれたものです。
洋服とか鞄とか、兄のお下がりが多かったので、この自分だけの机には、とても思い入れがあるのです。

性格も兄とは対照的で、物静かで、図鑑を読むのが大好きな少年です。
ただ、その好きさ加減が度を過ぎると、他人には理解できない、混沌とした世界が、引き出しには広がっているのです。
自分の好きなようにしたいけれど、お母さんが整理整頓しないと、気が散って勉強に集中できないよ、と小言を言い続けます。
何とかしなければ・・・。

先を歩く兄の右側に、一人暮らしのおばあさんが、植木に水をやっているのが見えました。
兄弟そろって「おはようございます!」と元気よく挨拶し「はい、おはよう。車に気を付けてね」とお返しが来ました。

そのおばあさんが大切に育てている植木は、ひな人形の様に三段に分かれていました。一番下には、立派な苔が生えた松の木。
二段目には、名前は知らないけど、黄色や紫の花が咲いています。
そして、一番上の棚には、小さなサボテンやむくむくした多肉植物たちが肩を並べて、こちらを見ていました。

すごくきれいだな。こうやって大きさや、色が付いたものと、あまり色が無いものを分けて置くとすっきりしてて、気持ちいいな。

次男の引き出し問題が、整い始めた瞬間でした。
彼は、頭の中で、まるで自分が引き出しの中のモノたちに、神様の様に振る舞う姿を想像し、改めて自分が、あの机の主なのだ、と威厳めいた感情を覚えたのでした。

自転車でもいいけど、歩く速度の方が、不思議と考え事が整うことがあります。
15分も歩くのか、というネガティブな要素の価値の変換を狙ったコピーです。

事例②

居間が在るということ。

人生の価値は、間が決めてでした。

市内でも有名で、年末年始には大混雑する歴史のある神社の近くにある一軒家。
そこに自分だけの世界をリノベした男性の物語です。

リノベのご相談は、長い間、一人暮らしをしていたお母さまからの相続対策。
そして、新しく世帯主となる還暦間近の男性が早期退職を機に始めた、PC教室の内装工事でした。
男性は、もともと食品メーカーのマーケティング部の管理職。
百貨店やスーパー、時には産地まで出かけて、部下から上がってくる様々なデータを元に、商品開発部へ情報を提供することを主に仕事としていました。
常に動いていて、時間に追われる、慌ただしい生活を何十年も過ごしてきました。


PCタブレットを常に持ち歩き、その場で企画資料を作成するなど、操作自体は同年代と比べ、はるかに高いものがありました。そんな技術を生かすべく、第二の人生のスタートとして、高齢者向けのスマホ、PC教室を開業することとなりました。

五感が冴える教室

教室というと、冷めた感じがしますが、男性との打ち合わせで、温かみが感じられる空間。できれば居心地がよく感じられる空間を目指し、生徒である高齢者の方々が、また行きたくなるような空間設計を致しました。

先生と生徒、という上から下にいく視線ではなく、フラットで対等な目線の関係性。
窓からは、神社の御神木たちが見えるようにし、PCによる目の疲れを癒す工夫をしました。
そして、最大の心地よさの秘密は、部屋の四隅に設置したスピーカーから流れる様々な自然音。
PCから操作でき、気分や状況に臨機応変に対応できるようにしました。

間、という価値を見つける。

プライベートである居住空間。複数の人が行きかう教室とは対照的に、自分に戻るための空間づくりを目指しました。

ただ、多忙過ぎた現役時代。
特に趣味があるわけでもないので、没入する要素を見つけるのに、どう設計したものか、なかなか答えが見つかりませんでした。そろそろ、施工へと入るフェーズが迫っていたある日、男性から連絡があり、最後の打合せにしたいので、ある場所を指定してこられました。

その場所とは・・・。

なんと、家の近くの神社の敷地にある、演舞の舞台前でした。
2年に一度、新嘗祭に催されるお祭りのときに、選ばれた若者が勇ましく舞う舞台ですが、それ以外で使われることはありません。


その何もない空間を指して、男性が、この空間が欲しいと言われました。

ただただぼうっとしたい、というわけではなく、無理やりに誰かの歩調に合わせるかのような趣味を見つけ、やりだすようなことは避けたい。
神社を散策していて、ひょっとしたら、このような何もない空間をずっと欲していたような気さえする、とおっしゃっていました。

感情の風景が見える12畳それは自分だけに意味が在る時間
ご主人にとって、この居間の何もない静かな空間こそが、これまでの人生で求めていたものだそうです。

何もない空間にこそ、私がいる。



家の近くには、神社を囲むように流れる小さな小川があります。
ゴロンと居間に寝転ぶと、雑多な生活音に紛れて、ちょろちょろと小川の流れる音が微かに聞こえてきます。

夜には、神社の木々たちの間から、月を眺めることもできるように、外側との間に縁側を作りました。
還暦間近でようやく手に入れた自分だけの意味のある時間。

12畳の空間に自分が溶け込んでいくような、そんな唯一の場所がご提供できました。
便利さや快適さのスペック優先の物件案内が多い不動産。
そこに住む人の感情に焦点を当てて、掘り下げて考えました、感情のコピーです。

この構文の基に、スペックや物件情報が続けば、SEO、AIO対策を意識してWEBサイトへと応用できます。
空き家の利活用に効く、感情コピーを作成のお手伝いができます。
感性価値や感情コピー、そして五感のコピーを得意としています。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。