企業内の意思の疎通や理念の浸透にお悩みの方へ。
これまで、ネーミングやキャッチコピー、ステートメントなど言葉を探し、変換し、それぞれの案件を限界領域まで考えてきました。中でも、言葉がこれほど、ひとの行動を変える事へと成り得たある食品製造業の案件があります。
コーポレートメッセージの依頼から始まり、企業内のコミュニケーションの在り方までも変えていく”機能”へとなった瞬間です。
この事例を紹介することで、活きた言葉には、成し得る世界が創れること。そして、その世界を供に構想するコピーライターが必要な事をご理解頂ければと思います。
その言葉、切ったら血が出そうか。
コピーライターが編み出す言葉です。

実体験|切ったら血が出る言葉が見つかるまで。
3代目の社長は、これからの会社の在り方の表明に思い悩んでいました。
創業が明治期にあり、モノが不足し、並べれば売れていく時代から、高度成長そして、バブル期を経験し、いわゆるモノ余りの時代に、食品製造業として生き残る為には、どこから手を付けるか日々振り回される業務を尻目に、何ら効果的な案も浮かばず、時間だけが経過しているような状況でした。
私は、地元の会議所の専門家に登録している為、その公的機関の派遣制度を利用したこの企業のご相談を受ける機会となりました。
今回は、お題としては「社内外に向けたコーポレートメッセージ」の作成という内容でした。
コピーで言うと「ステートメント」に属する文章の作成となります。
ですので、まずはしっかりとクライアントとの対話が重要になります。
どのような対話をするのか、以下に箇条書きに記します。
・これまでの在り方は、どうだったか。
・これからの在り方は、どうあって欲しいか。
・なぜ、そうあって欲しいのか。
・そこに切実さが内包されているか。
・ありたい姿のために、頑張らないとどうなるのか。
・ありたい姿には、古くて新しい価値がありそうか。
・その言葉は、クライアントが、今言う必要があるのか。
・その言葉からは、クライアントの地声が聞こえそうか。
およそ、これらを数回に分けて対話を繰り返します。場合によっては、同じ質問を、角度を変えて質問したりします。
ほとんど、聞き手に徹する場合が多いのですが、今回は、社長御自身からの発言がとても少なく、私が「例えばこういうことですか?」、「それは、前回と少しニュアンスが違って聞こえますが・・」など、まさに言語化をする上で、手応えのポイントを掴むまで大変時間を要しました。
社長御自身の発言が少ない場合は、将来のビジョンが描けないパターンが多いのですが、今回は、そう単純なことではありませんでした。
立場は社員数十名を率いる、中小企業の社長ですが、若干まだ30歳。社長に就任してまだ3年。
当然、これまで先輩だった方々を部下として指示する立場になります。
発言の少なさ、歯切れの悪さには、そういったインナーのデリケートな影響が多分に感じられました。
こういう場合は、誰も責任を取らない、美文のようなコーポレートメッセージでは、社員には伝わりません。
会社案内などで散見される、綺麗ごとと言えば分かりやすいでしょうか。
更に、社長の御父上が会長職に位置するのですが、まだまだ現役バリバリで、現場への介入が、より一層混乱を招く事態となっている様子でした。
この現状を掌握するには、どうしても数回訪問しただけでは掴み切れません。同族企業特有の大小の思惑が、私情をも巻き込み、絡み合った実態でしたので、慎重さと大胆さのバランス加減を見出すのに時間が掛かりました。
それでも、数少ない社長の遠慮がちな発言の中身を、数日かけて、ミクロ的に因数分解していくと、ぼんやりとですが、「系統」という言葉が浮かんできました。

限界領域|行き止まりまで考える。
これは、同族という避けられない事実を肯定的に解釈し、過去からの時間を社長が受け継ぎ、そして次世代に託す、という意味での「系統」という言葉をいったんメインキーワードに据えて、さらに「未来へ、供に力を合わせて歩んで行く」という社長の在って欲しい”願い”を象徴する言葉を探す事にしました。
主な事業は、ハンバーグやシチューなど洋食をOEM製造販売するB2B。しかも、牛肉の赤ワイン煮込み等の手の込んだ料理ではなく、王道のハンバーグであり、ビーフシチューであるため、長いお付き合いのお得意様が多く、そのせいか社内には”新しさへの挑戦”という空気は感じられませんでした。
ここが、社長自身が描くビジョンが、仮に頭の中だけでも描けていたとしても、声に出しては言えない”もどかしさ”だと感じました。
私が感じただけで、社長がそう言われたわけではありませんが、会社を発展させたい、と漠然とでも思われている様子は伺えていました。

系統図|過去と未来を考える。
思考を広げるために、系統図のようなイラストを創ります。
自分自身が見えていなかった盲点をあぶり出すような意味もあります。
同族企業であること。これからも同族企業でありながら、会社を発展させなければならない宿命であること。
つまり、同じ姓の方がこれからも会社を率いるという事実を”社長の言葉”として”前向きな言葉として”、何が相応しいのか考えていきました。
そして、その発せられた社長の言葉に、社員全員が納得しなくてはなりません。
“隙”や”瑕疵”、”非”が微塵も感じられてはなりません。
それどころか、共感、共鳴してもらわなくてはなりません。
活きた言葉を、必ず見つけなくてはなりません。
伝統|きっと創業時は、もっと熱かった。
会社もスタート時は、今よりもっと夢を語り、供に汗を流し、酒を飲み、きっと明日はもっと良くなるはずだ、と何の疑いもなく希望を抱いていたと思います。
理念が、まだ生きていた、とも言えます。
しかし時が流れ、時代の経済環境が変化し、そこに集う人の心理も変化し、一日の業務は変わらないけれど、なぜだか”つまらなさ”や”やっても同じ”などの「慣れ、ダレ」が自然発生してきたものと思われます。
「会社も国も、だいたい三代目あたりでおかしくなる」。
この言葉は、私の今は亡き父が、私が大学生の頃にテレビのニュースを見て、ボソッと発した言葉です。
その時のテレビ画面には、確か某独裁国家の元首が映像として流れていたと記憶しています。
伝統は、その価値が希釈される時が必ず来ます。
しかし、それが商売ともなれば、単なる売り買いとは違う「社会的信用」が付帯されています。
ですので、社外というよりも、社内から生じる「熱き想いの劣化」を少しでも感じたならば、早めの対処が必要です。
回顧主義、原点回帰ばかりを叫んでも、従業員には響きません。自分ごと化とならない為です。
これまでのキーワードを並べます。
系統、発展、進化、伝統、原点。
コピーライターとして、言葉を組み合わせるタイミングです。活きた言葉を誕生させるタイミングです。
実装する|進化の系統を問うメッセージ
あなたは、これまでの「仕事の在り方」に疑問を持てるか。
あなたは、これまでの「自分の在り方」に問いを見いだせるか。
忙しい中でも、次へと繋げるための、考える時間を持てるか。
外は、味方もいるが、圧倒的に敵が多い。助ける人などいない。
それでも、社内では、誰か忙しそうな人がいたら、誰かが助ける。
仕事も、ひとも、他人事にはしない。恥ずかしくても声を掛け合う。
わたしは、誓う。
そんな環境を、ひとを、数年かけてでも、作り上げることを。
やれないとは、乗り越える課題を発見した、という進歩の証だ。
やり始めたとは、もう戻らないと、という決意の礎だ。
やり終えたとは、次の課題が見いだせた、という成長の表れだ。
発展的原点回帰を回す。
この一文こそ、今、社長が社員全員に届けることにこそ、意味があると思います。
そう言ってご提供致しました。
製作日数:10日間 面会回数:ほぼ20回
今回のブログでは、メッセージに到達するまでを書き記しました。
次回は、その後の、インナー教育について書いていきます。
社内改革などお悩みの方へ、コピーライターを傍に置くと思考がスッキリしていきます。
ご相談などお気軽にどうぞ。
